教育系スタートアップはリーンであってはならない、について思うこと

こんにちは。ShareWisの辻川です。
先日shareKARASUMAで開催されたEdTech系イベントに登壇する機会をいただきました。
【オープン3周年】京都からEdTechを語る 7月7日
ベネッセホールディングスの森安さん、すららの湯野川さんという教育業界のすごい方の横っちょで、登壇者というよりは一参加者としてお二人の話に聞き入っていました。
そんな講演の中でとても面白い記事が紹介されていたのですが、その内容について思ったことを今日は書いてみたいと思います。
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EdTechスタートアップはずんぐりむっくりがいい

紹介されていたのがこちらの記事です。
For ed tech startups, pudgy is better than lean, says Princeton Review founder
「Princeton Reviewの創業者が語る、EdTechスタートアップはリーンよりずんぐりむっくりがいい」というタイトルです。
Princeton Reviewの創業者であるJohn Katzmanさんは2tor (今は2Uに名称変更)などの教育系サービスを次々と立ち上げ成功したEdTech界のシリアルアントレプレナーです。
リーン(細身)よりずんぐりむっくりの方がいい、というときのリーンというのは、言わずもがなリーンスタートアップのリーンのことです。
ただし、この記事で指摘されているのは、構築→計測→学習を繰り返すリーンスタートアップの方式がEdTechスタートアップに通用しないということではありません。スタートアップでよくありがちな、数名の20代そこらの若者が集まってサービスを作る、という方式がEdTechには適していない、とういことが指摘されています。

なぜEdTechではずんぐりむっくりしてるべきなの?

pudgy cat
記事の中では、EdTechスタートアップは20代そこらの若者だけでなく、教育業界に造詣の深いオジサンをメンバーにいれるべきだ、ということが提唱されています。
しかし、なぜそのようなオジサンがメンバーに必要なのでしょうか?
その理由としては、教育業界の構造が非常に複雑であると著者は言っています。

良し悪しの効果が見えないときは経験が必要

リーンスタートアップの肝は仮説と検証にあります。
サービスをリリースし、得られるデータを観察しながら、愚直に改善に取り組むことで、方向性を修正しながらサービスを発展させることができると提唱されています。
大抵の場合、大学を出たてのような若者がこの方法でスタートアップを引っ張っていくのは、業界知識等を一旦置いておいて、自分たちのビジョンに向かって一直線に突き進められるからだと思います。
しかし、EdTechの場合、記事でも紹介されていたように、問題が複雑であるのと、リーンスタートアップで最も重要なデータの取得、つまり自分たちが行っていることが、良いのか悪いのかを判断する指標を取得するのが難しいため、リーンスタートアップのスタイルをそのまま当てはめにくいのではないかと思います。
例えば、ゆとり教育等、公教育の政策をとっても、その施策が良い結果をもたらすのか、悪い結果をもたらすのかを判断するのにとても長い時間を要しました。
1ヶ月アクティベーションの改善のために、TopページのデザインをA/Bテストした、といったようなこととは全く異なる長いスパンの仮説、検証が教育の場合往々にして必要です(そして実験台にされる側はたまったもんではありません。ここらへんの議論は内田樹さんとかがよくやっていますね)。

ではEdTechスタートアップはどうあるべきなのか

問題が複雑で、データの取得が難しい教育業界においては、経験の価値が相対的に大きくなります。
その業界に長い期間身を置くことでしか見えてこないもの、原因と結果の構造を簡単には記述できないものを活用することがとても重要になってきます。
データの取得が難しいという問題については、EdTechスタートアップのプレイヤーとしては、そのような経験がある人達とコミュニケーションを多くとり、意見をあおぐ姿勢が必要になると思います。
また、問題が複雑だ、という点については、教育業界の人たち以外に、その周辺の業界、あるいは全く関係のない業界の人の意見を取り入れ、様々なアプローチを試してみることが重要だと思います。
ShareWisではこのような複雑な問題に取り組み、様々な意見を吸収しながら、学びの環境をより良いものにしていく仲間を募集しています。
どのようなアプローチがうまくいくのか分からない状況で歯を食いしばりながらも楽しんで事業に取り組める人がいれば是非コンタクトしてください。
複雑な問題で色々試したけど、全てのアプローチが無駄ではなく、成功につながっていたんだなぁとconnecting the dotsな将来を目指して頑張っていこうと思います。
(辻川)

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