英語オンリーで開発プロセスを回してみて気づいたこと

こんにちは。ShareWisの辻川です。
最近は外に出て人に会うよりも、プロダクト寄りの仕事に時間を使うことが多くなっています。
ShareWisの機能追加の他、今仕込んでいる新しいサービスのいわゆるディレクションに当たる仕事を行っているのですが、わけあって開発プロセスのすべてを英語で進めています。
たまに英語でコミュニケーションするのではなく、完全に英語オンリーで業務を行っています。
最初はなかなか大変でしたが、10ヶ月経った今、英語で業務を行うからこそ見えてきたメリットがあります。
この記事ではそのメリットを紹介します。

なぜ英語で仕事をしているのか?

どうして英語で開発業務を行っているのかというと、技術力が高ければ日本語能力は不問でエンジニア採用を行っているからです。
実際、去年の7月からベトナム人エンジニアのPhatさんが弊社で働いています。
Phatさんのブログ記事: Living and Working in Japan / 日本での生活と仕事について
非常に優秀なRailsエンジニアで、ベトナムでは UBRAND というEdTechスタートアップの立ち上げメンバーでもあり、スタートアップ的なエンジニアの仕事(要するにいろんなことしなくちゃいけない ^^;)を素早くこなせるデキる男ですが、日本語は話せません。
以前にも外国人のエンジニアが弊社で働いていたことはありますが、日本語が話せたので、ときどき英語でSlackでやりとりすることはあっても、日本語8割、英語2割くらいのミックス状態でなんとかやりくりできていました。
しかし、日本語がゼロの人がチームに入ると、日本語と英語のミックスでは通用しません。日本語を適宜翻訳するのもありかもしれませんが、効率を考えると、最初から全部英語で運用した方が手間が減ります。

誰も英語がネイティブじゃない状況

当たり前ですが僕は英語ネイティブじゃありません。
前職は外資系メーカーだったので英語を使う機会が多く、退職前の人生で一番英語が得意であろう時期に受けたTOEICで900点を超えたことを誇りに思っていますが、英語を話すのは苦手ですし、英文を読むのもあまり速くありません。
また、Phatさんを含めたベトナム人エンジニア3名も、ブラジル人エンジニアのLucasさんも(ポルトガル語が母国語)、他の日本人も英語はネイティブじゃありません。
つまり、開発に携わる人の第一言語がバラバラなので、消去法的に英語でコミュニケーションとるしかない状況です。
ただ、そのような状況だからこそ、英語でのコミュニケーションは慎重に行おうという認識が互いにあり、逆にそのことが効果的なコミュニケーションにつながっている気がします。

英語で開発プロセスを回して気づいたこと

実際、英語で開発プロセスを回してから、日本語で業務を行っていたときよりも、開発スピードが向上したと実感しています。
開発スピードは個々人のエンジニアのスキルに依存するところが大きいですが、スキル的な要因を補正して考えても、全体としてスピードが上がったと感じています。
スピードアップの要因はミスコミュニケーションが減ったことです。
以下のようなメリットのおかげで、ミスコミュニケーションが減ったと感じています。

仕様の定義の精度が上がった

完全に僕マターですが、仕様を伝えるときの文章や図への気配りが日本語よりもかなり慎重になりました。
適切な動詞を使えているか、意味を取り違えてしまうような表現になっていないか、冠詞がおかしくないか、冗長な表現では誤解が生じやすいので、より簡潔な表現にできなか、など日本語だと母国語だからこそ、なんとなくでやり過ごしてしまうことも意識的に改善するよう努めました。
(ちなみにですが、最近、a とか the の定冠詞、不定冠詞が間違っているときの違和感を察知しやすくなった気がします。普段の業務の賜物です。)
(ちなみにちなみに、日本語を含めアジアの言葉は定冠詞、不定冠詞や単数形、複数形を気にしない言語が多いです。 参考: 中国語は意外と数を気にする なので、アジアの国の人どうしのコミュニケーションはSlackなど見ても、単数形、複数形の使い方が乱れがちだなと感じてます。エンジニアだとコード上では単数、複数は気にするかもしれませんが、日常のやりとりだと気にしないんですね。)
また、日本語だと「〜と思います」や「〜の方がいいかもしれません」など、やや語尾をぼかす表現が好まれますが、互いに英語が母国語でない人どうしのやりとりだと、ストレートな表現を使うので誤解が生じにくいのかもしれません(メールなど社外の人と連絡するときは英語でもいわゆる diplomatic な表現は意識します)。

確認のための小さなコミュニケーションが増えた

コミュニケーションの際に、意味を取り違えていないか確認する頻度が高くなりました。
英語が母国語ではないので、自分の理解が間違っていたり、相手の英語が間違っていることがよく起こります。そのため、「これってこういう意味ですか?」という確認をよく行うのですが、その際、確認したいのは英語的な正しさではなくて、その人の頭の中にある考えを正しくこちらが理解できているかどうかです。まさにコミュニケーションの本質です。
小さな確認が増えるとミスコミュニケーションが発生する確率が減りますし、かっこつけた難しい単語を使ったり、複雑な文章を避けようという意識付けにもつながります。

最適なコミュニケーション手段を意識するようになった

日本語のコミュニケーションだと、リスニング、スピーキングが得意な分、会話によるコミュニケーションを取ればいいやという考えになりがちです。
一方、互いに非母国語でのコミュニケーションの場合、リスニング、スピーキングが優位な人もいれば、リーディング、ライティングが優位な人もいるので、ミスコミュニケーションが起こりにくいコミュニケーションの方法が人によって異なります。
そのため、コミュニケーションをとる前に、どの手段が最適かを意識するようになりました。
本来なら日本語話者どうしでも違いはあるのでしょうが、ネイティブどうしだとあまり意識しません。
また、言葉だと伝わりにくい場合に、ホワイトボードを使ったり、画面を見せたり、あるいはスクリーンショットやGIFアニメーションを使ったりと、図を使ったコミュニケーションを多用します。
図解も日本語でも使いはしますが、英語の方がより意識的に、どんな状況下で、何を伝えたい場合に、何を使うか、を選択するようになった気がします。


英語での業務は最初は大変でしたが、慣れると上記で紹介したようなメリットも多く、何より日本語がバリアにならずに働ける環境をつくれたのは大きな進歩かと思っています。
ShareWisではこれからも日本語が話せない人でも働ける環境作りを推し進めていきたいと思いますので、外国人の方(この記事はゴリゴリの日本語で書いていますが)、英語ができる(できるようになりたい)エンジニアの方はぜひコンタクトしてください!
 
(辻川)

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